ゲームの進行方向の話(アムロは左に向かうがマリオは右に向かって進むのは何故か?)
 少し前のエントリで、「漫画および舞台などの映像作品では物語は右から左に向かって進むよ」という話をしたら、ゲームは逆じゃね?という話があって、面白そうなのでちょっと書いて見る。

 今回は、アムロは左に向かうがマリオは右に向かって進む話のは何故かという話。

 ゲームが右向きの例としてはこういう奴。




 横スクロールゲームが右に向かって進むのは4つの理由が考えられる。(俺的に)

 1つ目は、インターフェイスの問題。

 レバーとショットからなる操作系は、ショットを右手で行うために、どうしても、左レバー、右ボタンというレイアウトになる。


 レバーは自機、自キャラをあらわすのなら、ボタンの方向に、ショットやパンチが出るべきなので、必然として、右向きの画面になる。

 といった具合。

 2つ目は、主体はどちらかにあるか。という話。
 プレイヤーと、自機、自キャラは一心同体であり、見るべきは敵キャラクターであるという部分。
 縦スクロールのゲーム、縦シューティングや、俯瞰レースとかを考えると解るけど、あれは上に進むゲームじゃなくて、前に進むゲームなのね。
 更に言うと、自分が進むんじゃなくて、敵が迫ってくるゲーム。
 これを横スクロールで考えると、右から敵が迫ってくるとゲームという考え方。
 映像作品は、受動的に観賞するものだけど、ゲームは能動的に参加する物、そう考えた場合は、逆でいい。(強引だ)
 

 3つ目
 世界で一番最初にブレイクしたゲームは「ポン(1972)」なんんだけど、これはテニスゲームで、テニスコートを真上から見た画面だったんだけど。

 これでは2人で遊ぶゲームで便宜上1P、2Pとプレイヤーを呼ぶ場合、横書き文字の文化圏だと、左側が当然、1Pなのよ。

 つまり、歴史的にプレイヤーは左側。ちゃんちゃん。



 さてアバウトに纏めると。

 基本的に「レバーとボタンの位置の問題」「主体がプレイヤーである」「最初から左側がプレイヤー」等から導き出されたのが現在の、横スクロールゲームは右向きに進む、というもの。そして、早い時点でそういうゲームが大量に投下されたために、「そういうものである」という認識が広がった。
 と考えていいと思う。(これでもまだ若いからゲーム黎明期のころは実感としては知らんのよ。読んだ知識ばっかりだ)

 これが4つ目の理由。「そういうものである」と決ればもうそこからは「そういうものである」としか。

 映像作品の「上手下手(かみてしもて)」の考え方(上位の者は右側から登場する等)も、いろいろ理屈はあるけど、基本的に「そういうものである」という認識が広がったからそうなってるという認識でいる。
(自分は左利きだけど、その辺の感覚は右利きの人と変わらないし。また人間の視界を上下左右反転するようなメガネをかけた生活をしていても数時間で適応できるという実験をTVで見たこともある。となるとこれはもう慣れの問題でしかないから。)


 これで本題終わり。後はおまけ的雑談。

 ちなみに自分がゲームをデザインするときはどうするかというと、基本的に操作系ベースで物を考えます。マップもそう。
 あと、イベントシーンとゲームが交互に来る場合、切り替えし(左右がひっくりかえる)が発生しにくいようには気をつけます。それぐらい。
 ぶっちゃけ、なんちゃら2、とかなんちゃら3、とかばっかり作ってきた経緯から、オリジナリティを全面に押し出せた事はあんまり無いんだけどね。たまにオリジナリティを全面に押し出していいときは、暴走しないように気をつけてます。



 以下、資料。
 
 ちなみにもっとも古い商業用ビデオゲームは「コンピュータスペース(1971)」見たこと無いからわからん。大ヒットしたのは翌年の「ポン(1972)」から。

 本格的にスクロールを使ったゲームは「ディフェンダー(1980)」「スクランブル(1981)」あたりが最初で、このとき既に右向きスクロール。(こいつらが名作)(ディフェンダーは左右切り替えだ!)

 余談だけど、「ポン」の1年後に「MazeWar(1973)」という3D迷路で打ち合いを行うという、FPSの原型のゲームが既にある。狩猟民族マジ恐るべしである。あいつらは1973年から主観視点で打ち合うゲームを作り続けて現在の完成度まで持ってきたわけだ。歴史が違う。

 ちなみに、社会現象化した「スペースインベーダー(1978)」は、基本的にはレバーが中央、左右に同じ動作をするショットボタンというレイアウトが多かった。
 しかし、重要なショットを利き手である右手に持って来るように、左レバーの右ボタンという筐体が増えるに至る。だと思うんだが、いくら調べても資料からそれは中々読み取れないので違うかもしれない。うーむ。

「マッピー(1983)」は両方向スクロールだが、プレイヤーの初期位置が右スタートなので、左スクロールっぽい印象。

 現在の日本のアーケードゲームはJAMMA規格というレバーとボタンの規格に乗って作られており、これが決まったのは1986年とわりと最近なんだけど、その時は既に左レバーで右ボタンで確定。(JAMMAはハーネスの企画だからレイアウトはまぁ違うんだけど)

 印象的な逆方向(左向き)ゲームとしては「ファイナルファンタジー(1987)」のバトルシーンにて自分が左向きに登場するのが珍しいぐらい。映像作品を志向していた結果なのか偶然かはヒゲの人のみぞ知る。

この影響を受けてか、エンカウントバトルのゲームには自分が左向きが結構ある。(「バルキリープロファイル(1999)」とか)
 あと印象的な左向きスクロールでは、ボコスカウォーズ(1984)がある。パソコンは左手の位置にカーソルキーがある事も合わせて考えておくべきかも知れない。

 あと、左向きと言えば、スパロボは左向きゲームだが、映像作品ベースだからあの表現なんでしょう。

 さらに余談だけど、縦スクロールゲームは、横スクロールゲームより登場が遅く「クレイジークライマー(1980)」を待たねばならない。まぁ、星が縦に流れているというだけなら「ギャラクシアン(1979)」で良いんだけどね。


 振り返ると、1971~1991の間にゲームの殆どは完成しちゃってるんだなぁ。頭いてぇ。なんか新しい物を作りたいぜ。
 (1991はスト2が発売。)

2008/03/31(月) 00:51:44| 固定リンク|ゲーム| トラックバック:0 | このエントリーを含むはてなブックマーク|
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