湖川友謙 サンライズ作品画集が出るというので、せっかくだから、amazonで1話を視聴(1話はタダ)。
もはや古典なので、ネタバレを気にせず書く。
■あらすじ
ショウ・ザマは現代の東京にすむ若者だったが、バイストンウェルという異世界に召喚されてしまう。
その世界では、地上人(びと)であるショウは、生体エネルギーであるオーラ力を使って生体的ロボット、オーラバトラーを操ることができるのだった。
平和な中世風の世界であったバイストンウェルは、召喚された地上人による兵器開発やその運用によって、戦乱に飲み込まれてゆく。
■感想
面白い。面白すぎる。
個人的な感想を言えば、トミノ作品では、ダンバインとザブングルが断トツだと思う。
あの軽妙な世界観のザブングルも捨てがたいが、中盤弛むことを考えると、狂ったスピードで駆け抜けるダンバインというのはとんでもない仕上がりだと思う。
今風に言えば異世界転生モノジャンルなのだが。1話前半15分弱でほとんどのタテツケの説明が終わっている。
後半に入ると、次の波乱の予感を用意している。
ガンダムの比でないテンポ。ついてこれない奴は置いていくぞと言わんばかりのスピード。
しかもこれ、地上人召喚によってバイストンウェル支配をもくろんだ地方領主の物語でもあり、召喚されてその技術力で兵器開発を行った男の立身出世物語であり、その野望に乗った男の物語でもあり、その野望を阻止せんとした地上人の物語でもあり、その地上人によるロボットでの戦闘といったこれまでの戦争の作法がまるっと変わったことにより、立身出世を絶たれた男の物語でもある。
おまけに、国をまたいだラブロマンスや不倫。男や女を武器に自身の勢力を伸ばそうとする者たちの話でもある。
物語後半では、舞台を地上に移し異世界のテクノロジーで大暴れするという超展開。
米軍との共闘など、特殊でピーキーな状況が続く。複数の勢力が入り乱れての戦争だが分かりやすく描かれている。
いわゆるトミノフォーマットとして、大勢が一つの船にのって複数勢力と渡り合いながらあっちこっちいってりゃどうにかなる、というのがあるのだが。
ザブングルやダンバインはその到達点ではないかと思っている。
これがエルガイムまで行くと話が分かりにくくてガチャガチャしているし、Zガンダムはもはやアニメ雑誌でもないと理解できないレベルだった。(あの当時はビデオもそれほど普及していない)
ダンバインの冒頭では、地上からバイストンウェルに召喚されたショウザマが状況に適応できないまま一晩を置いて戦闘に出向くのだが、監督はこれをいきなり戦闘にすべきだったと何かで述べていた。
自分は、この異世界に飛ばされて一晩、というのが、物語のタメになっていて、とても好きだ。
ガチャガチャし過ぎない、テンポ早すぎて感情が乗らない、そういうことにならないちょうどいいマだと感じている。
もちろん、そのジャンルに触れた年齢によるバイアスというのはあって、ダンバインは自分にとってジャストミートな時期に見たというのはある。
そもそも今このようなアニメを企画したとして、こんな雑なリアリティでは走れないと思うし、じゃあリアリティレベルをコントロールしたら面白いかといえば、そんなことはないと思う。匙加減が絶妙なのだ。
それプラスこれを視聴したときの自分の知識レベル、社会の在りよう、いろいろ踏まえて、俺にとって特別な作品となっている。
あと、湖川氏に脂が乗っているタイミングなので、いい女いっぱいである。ミュージーポーとガラリアニャムヒーは持って帰りたい。
マーベルフローズンのアメリカの田舎に居そうな感じは凄い。
メカデザインも宮武一貴による凄いものだ。
ダンバインのメカ、オーラバトラーは一言でいうと、『昆虫がマント着て空中チャンバラ』というとても一筋縄では理解できないデザインだ。なのにカッコイイ。
そのデザインラインを引き継ぎ、チャンバラ騎士方向を強く押し出した出渕裕によるメカも良い。
後半にいくと、異形のモンスター型(ガラバとか)が増えていくので、個人的には残念だが、それは物語としての、搭乗者のキャラクター性との合致のためなので仕方がないだろう。
ついでに言うと、オープニング、エンディングも素晴らしく、どちらの歌も歌詞だけで世界設定をほぼ語りきっている。
おまけに、オープニングは番組名蓮子だし、エンディングは世界名ビブラートだ。
しかも、熱唱!といった感じで印象に強く残る。
アニメの主題歌が、アニメと関係のないものになることが多い昨今だが、やはり物語を構成するピースとして主題歌は重要だと思う。Vガン後期でトミノがヘソを曲げたというのもウソではないのではないかと。
そんなわけで、見たことない人は1話だけでも見てみることをお勧めする。タダだし。
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