映画:第9地区 感想
 映画館で具合の悪い時に視聴してしまったため改めて、PS3でレンタル視聴400円。

 今amazon調べたら、安いよ!中古だと1000円切ってるよコンチクショウ!買えばよかった。
第9地区 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

 以下ネタバレバリバリで感想を。

あらすじ
 南アフリカヨハネスブルグには宇宙人が居住している。
 20年前に巨大な宇宙船が飛来しコントロールを失った。乗船していた100万人の宇宙人が難民として南アフリカの地に住み着いている。
 宇宙人は、優れた科学力を持っているが、個人が持っているわけではなく、怠惰で統率が無く、キャットフードに目が無く、ようするにダメな集団であり、見た目がエビに似ている事から蔑称としてエビと呼ばれ、地球人に侮蔑的に扱われている。
 この宇宙人難民キャンプ「第9地区」にさらに奥地への移住を強行しにやってきた民間軍事会社のサラリーマン、ヴィカスが主人公である。

 物語にはもうひとつの勢力として、ナイジェリアのギャングがかかれる。彼らは宇宙人相手に商売をし、宇宙人の武器を買い集めている。宇宙人の武器はすさまじい威力を誇るが宇宙人にしか使えない(生態的ロック)。しかし宇宙人を食べる事で、その力を使えるようになるという、呪術的な信仰が生まれている。

 エビ星人、民間軍事会社、ヴィカス、ギャング。この4勢力が話を転がす事になる。

感想
 褒め言葉の意味で「タチの悪い映画」だなーと。
 人種差別をフェイクドキュメンタリーで描いた、とかそういう風評を聞いてたんだけど、別にそこにフォーカスされているわけではない。
 上っ面だけを追うと「特殊能力を手に入れた主人公がそれゆえに追われ、その能力で抵抗するSFアクション映画」として完成されているのだ。しかもアクションシーンもふんだんでパワードスーツに乗ってのバトルまで展開する。参っちゃうね。上手すぎる。

 しかし、その周辺は現実の何かのメタファーが塗りこめられねっとりしている。
 姿カタチの違うエビ星人に銃を向けることに躊躇が無いのは、人種間の問題のクローズアップだろうし、エビ星人の肉を食うとかは例の呪術師によるアルビノの殺害、エビ星人とのセックス云々はエイズ。色々な要素が現実の断片を大量に重ね合わせる事が出来るように作られている。そもそも舞台がヨハネスブルクてのが。

 その上で、残虐描写は大量にあるのだけど、比較的ポップに済ませている。ゲーム的というべきか。エビ星人が銃で撃たれて死ぬ様はアクション映画ならいくらでも見る程度の残虐さだし、人間が死ぬ時はエビ星人の武器によるファンタジーな死に方ばかりだ。
 エビ星人にも知性はあるというのを描いてるから、かなりエゲツなく見えるが絵的にはよくある絵となっている。だからこそ余計に残酷。よくやるわ。上手すぎる。

 映像的な見せ場があり、予算通しに効果的なアクションがあり、見事なセンスオブワンダーがあり、じっとりと後味の悪さがあり、それでも救いがあり、あんまり見事なので、褒め方が「面白い」よりも「上手い」になってしまう。それほどの見事さ。

 全方位射撃的にどんな人が見ても何かが引っかかるように作ってあり、その上全方位に言い訳もしてるという。
 これだけ丁寧な仕事しておいて、物語のコアの黒い液体のいい加減な設定。よくやるわ。

 SFと残酷描写に抵抗が無いなら本当にオススメ。

 アメリカのamazonでこのエビ星人の武器売ってて超欲しくなった。日本から買えるのかしらん。

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